オルソケラトロジーとは


オルソケラトロジーとは、特殊な形のコンタクトレンズを夜寝ている間に装用して、視力を改善させる治療方法です。

朝起きてレンズを外したあと、日中は裸眼で過ごすことができます。

軽~中程度の近視の方、スポーツをしている方、日中コンタクトや眼鏡を使いたくない方に向いています。

近年ではお子様の近視進行を抑制する効果についての研究発表も行われており、注目されている治療法です。



オルソケラトロジーの仕組み


特殊な形のコンタクトレンズをつけることで角膜の形状を変化させ、網膜上にピントを合わせます。

レンズを外しても一定時間効果が維持されるため、裸眼視力が改善します。

※オルソケラトロジー治療での矯正を始めてから視力が安定するまでは、眼鏡や使い捨てコンタクトなどを一時的に使用いただく場合があります。

また、効果の現れ方には個人差があります。



◆装用前◆(近視の状態)

眼は入ってきた光を角膜と水晶体で屈折させて、網膜上で焦点を合わせることにより像として捉えます。

近視の場合は、この焦点が網膜より手前で結ばれるために像がぼやけて見えます。


◆装用中◆

レンズを就寝時に装用することで、角膜前面の形状が平坦化し、焦点が網膜上で結ばれて近視が矯正されます。


◆装用後◆(裸眼時)

レンズによって平坦化された角膜前面は、レンズを外しても一定時間形状を保つため、日中は十分な裸眼視力が得られます。

オルソケラトロジー治療の大まかな流れ

事前相談(治療内容・金額の説明)(保険診療)(予約制)

※当院では正確な眼のデータを測定するため、調節力を除去する目薬を複数回点眼し、オルソケラトロジー治療に適応可能なデータか事前確認を行います。

(所要時間:約1時間30分)

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適応検査(自由診療)(予約制)

※検査用のコンタクトレンズを装用しての効果体験・レンズのつけ外しの練習をしていただきます。(所要時間:1時間30分~2時間)

※①事前相談と②適応検査は別日での対応となります。

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お試し装用(自由診療)

※適応検査で確認したデータを元にレンズを作成し、最長1か月間お試ししていただきます。(ケア用品キットをお渡し)

1か月後にオルソケラトロジーによる治療継続を希望するか決定していただきます。


      

矯正開始(自由診療)

※治療の継続を希望される場合、レンズ代・1年間の定期検査代を含む追加料金がかかります。


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定期検査

※治療を継続している間は3か月ごとに定期検査を受けていただきます。


オルソケラトロジー費用

よくある質問

Qどのくらいの睡眠時間が必要ですか?
A

個人差がありますが、適切な近視矯正効果を得るためには6時間以上の睡眠時間が必要と言われています。

Q寝ている時の姿勢によって効果の違いはありますか?
A

オルソケラトロジーの効果が最も得られるレンズの安定位置は角膜中央です。

レンズがずれてしまうと、オルソケラトロジーの矯正効果を100%得ることができません。

そのため、うつ伏せや横向きに寝る方は注意が必要です。

Qオルソケラトロジーレンズはどのような構造になっていますか?
A

当院では、メニコン社の「オルソK」という商品を取り扱っています。

詳しくはこちらをご覧ください。

Qすぐに効果は現れますか?
A

効果については個人差がありますが、治療開始直後は長い時間の効果は得られません。

最初は夕方頃には視力が少し落ちることがありますが、徐々に視力の持続時間も安定して伸びていきます。

Q誰でもオルソケラトロジー治療はできますか?
A

全ての方にお使いいただけるわけではありません。

使用を始める前に、眼科専門医が眼の健康状態・近視の度合いなどを検査し使用の可否を判断します。

当院では正確な眼のデータを測定するため、調節力を除去する目薬を複数回点眼し、オルソケラトロジー治療に適応可能なデータか詳細な確認を行います。

Qオルソケラトロジー治療を中止や中断した場合のレンズの扱いはどのようになりますか?
A

オルソケラトロジーは近視治療の一環であり、医師の指導を受けずに使用することはできません。

その為、中止した場合は眼科にレンズを返却していただく必要があります。

また、近視治療を中断した場合はレンズを保存ケースに保管し、近視治療再開の検査を受けていただく必要があります。

Q治療を開始してどのくらいで見えるようになりますか?
A

個人差はありますが、安定した視力を得るには1~2週間ほど使用していただく必要があります。

また、近視の度数が強くなるにつれて、視力が安定するのにも時間がかかる傾向にあります。

Q遠視や乱視がありますがオルソケラトロジーは使用できますか?
A

残念ながら遠視の方はオルソケラトロジーを使用することができません。

また、近視や乱視が強い方もオルソケラトロジー治療は適応外となります。

Q一般的にコンタクトレンズは寝る時には外すよう言われていますが、夜間に装用しても大丈夫ですか?
A

オルソケラトロジー治療は高酸素透過性の素材を使用しているため、酸素の供給には問題ありません。

しかし、使用中気になることがあれば眼科受診をお願いします。

Qレンズを付けると痛みはありますか?
A

オルソケラトロジーレンズは水分が含まれていないハードレンズと同じ素材のため、初日はゴロゴロとした異物感を感じる方が多いです。

しかし、使用するにつれ異物感は徐々に気にならなくなっていきます。

ただし、強い痛みが長期間持続する場合は我慢せずに受診してください。

Qケアはどのように行えばいいですか?
A

オルソケラトロジー治療のコンタクトのケア方法は、基本的には一般的なハードコンタクトと同じです。

しかし、レンズの内側が特殊な形状をしており、汚れもたまりやすいため2週間に1度のタンパク除去が必要です。

「適応検査」時に詳しくケア方法もご案内します。

Qレンズの使用期限(有効期限)はありますか?
A

個人差もありますが、レンズの寿命は約2年と言われています。

当院では、顕微鏡でレンズの状態も確認できますのでお気軽にご相談ください。

オルソケラトロジーのメリット・デメリット



・日中、眼鏡やコンタクトを使用せず、裸眼で生活ができるようになります。


・手術ではないため、コンタクトレンズの装用を中止すれば1週間ほどで元の角膜の形状に戻すことができます。


・未成年やお子様でも治療が可能です。

(小児の方には近視の進行の抑制効果があると言われています。)


・通常のハードコンタクトレンズと同様に毎日のケア(洗浄・タンパク除去)が必要となります。


・誤った使用を続けると、通常のコンタクトレンズと同様、眼障害につながる可能性もあります。